世界をまどわせた地図
アトランティス。ムー大陸。エルドラド、ウルティマ・トゥーレ...。
観測・測量技術の限界、蜃気楼が見せた幻、海図の写し間違い、名誉欲がついた嘘、金銭のためのでっちあげ…。その存在を証明するために、多くの資産と命が消費され、誤りは時代と共に訂正されていったが、それでも何百年にも渡って信じられて、地図に描かれ続けたものが
- 作者: エドワード・ブルック=ヒッチング,ナショナルジオグラフィック, ,関谷冬華
- 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
- 発売日: 2017/12/15
- メディア: 単行本
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掲載されている地図は大きく、見易く鮮明で、フルカラーで充実していて、 どういった経緯で記載され、転載・訂正されていったか、 解説もわかりやすく、知識が全くなくても楽しんで読める文章。
欧州中心の地図がほとんどなため、馴染みのない俺はGoogleマップを片手に参照しながら、日本から見たらどのへん?カリフォルニア島には女しか住んでない!?島じゃねーし!とツッコミを入れながら楽しんだ。
時代が進むと日本も描かれるようになり、不思議な形の日本を楽しめる。北海道そのものが存在しないのは、間宮林蔵以前で、日本の形とかは当時の日本人から確認してたりしたんだろうなあ。まみりん18世紀の人間だもんな。
脱線になるが、外国人のファーストコンタクト日本人像は、『逝きし世の面影』に詳しい。
文章が非常に美しく、在りし日がありありと目に浮かぶよう。こちらもお勧め。
外国人からすると当時の日本の村や田畑、営みは美しく、理想郷であり、日本人は外国人に対し鬼じゃ、バケモンじゃという反応ではなく、シャイだが袖引っ張ったり顔触りに来たり、人懐こかったらしい。
乗組員がペリーに、キャプテン!あいつらエロ本投げてきます!HIWAI!やめさせてーや!と報告したらしい。
俺も宇宙人に会ったらまずエロ動画見せて交友を図りたい。オレ、上原亜衣、スキ。ユートゥー?
話を戻して。
15世紀頃までの地図には魚の尾を持つ一角獣、 島のふりをするほど巨大な怪物が描かれている。今でこそ笑えるが、当時は信じられており、怪物ごとの対策があったり(ラッパの音に弱いとか)。地図の制作側からすると、実際にはまだ知らない部分の空白を埋めるためという側面もあったらしい。
けっこうショックしちゃうねその事実。
また当時は、怪物だけじゃなく人間も様々な種族が信じられており、そちらもネットに転がってる画像より資料・解説は充実している。
航海への不安と、新天地への期待をないまぜにして、どんな面持ちで当時の海の男たちは旅立って行ったんだろう。
抗生物質もない。ビタミンの存在も知らない。実際は薬効なんてない、まじないでしかない薬。風呂に入る習慣もないから不衛生。
陸にも海にもバケモンそこかしこ、未知の病、たどり着いても原住民に殺される…。
地図に記されたのはありもしない桃源郷。それを信じ、夢を膨らませる。
もしも見つけたらよ、俺が世界を拡げたんだぜ!名誉に勝る勲章なし。
ビーアンビシャス!かくして、びにたき探検隊株式会社は、資産家を説得し出資を受け、航海に出るが…俺は虚弱だから仲間に掘られた挙句栄養失調で死んじゃうだろうな!
『世界を惑わせた地図』は幻の島を扱ったものだが、実際にある島、それも無人島に想いを馳せるなら、『秘島図鑑』を勧めたい。
今思いついたけど、VRがある環境を活かして、Google earthVRで尋ねてみようかな。
Google earthVRは上空から、宇宙から、シームレスにその地に降り立てる。 建物などは立体的な3DCGによる表示だが、最近は道なども360画像で表示されるようになった( VRと360画像は相性がいい)。
航空写真のままじゃないといいけどな~。